「ライン」の高さでサッカーの良し悪しを判断してはいないか。
ピッチ外から見るサッカーの落とし穴
■岩政大樹・現役目線第24回
ピッチ内とピッチ外の見え方
ピッチ内とピッチ外では見えているものが大きく違います。
動く時間、動くボール、動く選手、動く流れ、動く心。それら全てを把握しながら、絶えず判断を繰り返しているピッチ内。
それを一つのものとして、全体を広く見てしまうと、ピッチ外からの視点は大きくズレてしまいます。
ピッチ内には、22人の選手と22人の判断があるのです。
例えば、僕が常々、違和感を抱くのが、「ラインの高さ」についてです。サッカーには、言葉が一人歩きしていくことがよくありますが、この「ラインの高さ」も最近、その傾向があるように思います。
いつからでしょうか。日本サッカーで頻繁に「ラインが高い、低い」と、試合のキーファクターとして「ライン」という言葉が使われるようになりました。
確かに、ピッチ外からサッカーの試合を見ると、ラインがどこにあるかということは一目瞭然です。フィールドプレーヤーの一番後方の選手の位置を見ていればその位置は分かりますし、ボールの位置でどちらかが「押し込んでる」と捉えようとするのはあながち間違いというわけではありません。
ただ、「ラインの高さ」というのは、その高さ自体が単体で「いい」とか「悪い」とか評価されることではありません。ラインが低いと「悪」でラインが高いと「善」というわけではありませんし、その逆でも当然ありません。
つまり、ラインが高いことによって起こるメリットもあればデメリットもあります。それなのに、どこかラインの高さで良し悪しを判断する傾向ってないでしょうか?